LAに来てから初のライブレポです。
9月30日(日)、LA Phil 100 × CicLAviaというイベントに参加してきました。
まずCicLAviaというのはコロンビアで始まったCiclovia(スペイン語でbike path/自転車道の意)を参考に、2010年から開催されているイベントで、ロサンゼルスの都市部の車道を封鎖して、自転車はもちろん、歩行者やスケーターのために解放するというものです。
当初は年に1回だったものが、今では年に4回開催になっているそうです。
今回はLos Angeles Philharmonicの100周年記念イベントと合同開催という感じで、ルート内の各所で様々なライブが行われていました。このイベント、ライブ鑑賞も全て無料というのが素晴らしい!
今回のルートはこんな感じ!
8マイルなので13キロ弱といったところ。
このイベントについては予習不足だったため、自転車は持参せず。レンタサイクルもありましたが、せっかくLAの街並みをゆっくり見るいい機会だと思って歩いてみました。スタートが遅かったこともあり、コース全部を歩き切ることは出来ませんでしたが、それでも6マイルは歩いたんじゃないかと思います。
ライブは各地でいろんなアーティストがやっていましたが、時間と距離の関係もあり、あんまり数は観ていません。まずは1つ目のお目当だったJazz at Lincoln Center Orchestraを観るために、Capitol Records Building手前のHollywood Hub & Stageからスタート。
Jazz at Lincoln Center Orchestraと言えば、Wynton Marsalisが1991年からアーティスティックディレクターを務めていることで有名なビッグバンドです。
ピアノ、ウッドベース、ドラムスが一人ずつ。トランペットがWynton含め4人、トロンボーンは3人、サックスはバリトンも含めて5人という15人編成。
まあ予想していたことではありますが、レベルがむちゃくちゃ高い。細かいフレーズでも一つ一つの音がめちゃくちゃクリアだし、キメの部分ではグワってくるほど圧倒的な音圧で迫ってくるし、強弱、緩急のコントロールが抜群。
これが無料で観られたというだけでもう満足してしまいそうでした。
そこからひたすら歩いてGrand Hub & Stageを目指します。
その途中でLA Philのメンバーがフルート、オーボエ、ファゴットの三重奏を披露していたり、一般の参加者が自転車にステージを引っ付け、カラオケパフォーマンスをしながら走ったり、何よりカリフォルニアの日差しと綺麗な空。その下で歩いているだけで楽しかったです。
歩いている途中でDam-Funkは間に合わないことに気付き、まあ、18時からのPink Martiniが観られたらいいかな、と思いながらKoreatownあたりを歩いていると、16時になって道路の封鎖が解除され始めてしまいました。
それならもう歩く意味もないかと思い、地下鉄で移動しようと駅へ。何気なくスマホを取り出したところ、昨日見ていたHollywood Bowlのページが。
今回のLA Phil 100のメインイベントはこのHollywood Bowlで19時から行われるLA Phil 100 at the Bowlで、これも無料なんですがチケット制。昨日見たときは’Registration is closed’と出ていて諦めていたんですが、なんと受付を再開している!
というわけで予定を変更し、地下鉄に乗ってまたハリウッド方面に逆戻り。
なんてったこのメインイベント、メンツが超豪華。
Los Angeles PhilharmonicとそのLA Philが支援しているYOLA(Youth Orchestra Los Angeles)に加え、スペシャルゲストとしてHerbie HancockとKali Uchis! そしてこの写真には載っていないものの、Katy Perryも参加!
実はこのイベントを知った元々のきっかけはBandsintownがHerbie Hancockのライブがあるよ、と教えてくれたからでした。Herbieのライブは2万円は軽く越えるのが普通なので、これまで何回か来日公演鑑賞を見送っていたんですが、それが無料で観られるなんてまたとないチャンス!
しかもKali Uchisはフジロックでチラ見してなかなかいいなぁと気になっていたアーティストだし、Katy Perryは全然ちゃんと聴いたことないけど、誰でも知ってるポップスターだし、オーケストラの演奏も聴けるなんて贅沢すぎませんか?
まずはLA PhilとYOLAがArturo Marquezの’Conga del Fuego Nuevo’を披露。すみません。クラシックの知識は全くないので、無料で配られたガイドブックを頼りに書いています。Arturo Marquezは1950年にメキシコで生まれた作曲家だそうです。
次にLA Philによる、ヴェネズエラ出身のチェロ奏者Paul Desenneの’Guasamacabra’。こういった選曲もそうだし、司会者が英語に加えてスペイン語で話したり、ガイドブックも英語とスペイン語が併記されていたり、あらゆるところにヒスパニック文化の浸透ぶりを感じました。
そしてようやく知っている作曲家Stravinskyの’Berceuse and Finale from The Firebird‘。いやークラシックもっと勉強しないとなー(笑)
そしてKali Uchisが登場。大きなスリットが入った大胆なドレス姿がめっちゃ色っぽい。コロンビアから移住してきた両親の元に生まれ、幼少期はコロンビアとアメリカのヴァージニア州を行ったり来たりしていたとのことですが、現在はLAに拠点を置いている模様。
LA Philをバックに、ゆったりした’Flight 22’を披露。少しハスキーな声はMacy Grayを連想させます。オーケストラとの相性も抜群で、とっても心地よい気分に。
そして待ちに待ったHerbie Hancockの登場!
Herbie一人がオーケストラと共演するのかな、と思っていたらバッチリ自分のバンドを引き連れて登場。そして披露したのは踊るさんま御殿でお馴染みの’Rockit’!
ターンテーブルを回すのはなんとオリジナルのGrand Mixer DXT! サックスとキーボードには地元LA出身のTerrace Martin! ドラムスは紹介を聞き取れず。
ビックリしたのはベース。ソロパートが来た瞬間、その音色ですぐに誰かわかりました。なんとMarcus Miller! 豪華すぎ。
オーケストラとの共演と言いながら、結構Herbieバンドだけでジャムってる時間が長かった気がします。Herbieはピアノでも、キーター(ショルダーキーボード)でも最高のソロを聴かせてくれました。もう動きも感性もめちゃくちゃ若い。ようやく拝むことができました。感動。
そしておそらく会場内の多くの人のお目当であろうKaty Perryが登場!
まずはCicLAviaに絡めてQueenの’Bicycle Race’をコーラス隊と一緒に熱唱!
Katy Perry、正直ほとんど聴いたことなかったんですけど、さすがに歌姫だなぁと感じました。そして続けて’Roar’。あ、聴いたことある! 知ってるわこの曲!ってなりました(笑)会場は大盛り上がり。
これで終わりかな、と思ったらもう一曲。’Firework’。これも聴いたことある! これKaty Perryやったんか!となりました(笑)
曲に合わせて花火も上がり、オーケストラの演奏もKatyの歌唱もどんどん加熱。めちゃくちゃ劇的でした。
会場から割れんばかりの拍手が起こり、これにて大円団。そう思い観客が徐々に帰り始める中、映画もエンドロール終わりまでしっかり観る派の私はオーケストラのみんなが舞台を降りるまでは帰らないでおこうとしばらく拍手を続けていました。
そしたら指揮者がマイクを持ち、古くからの大切な友人を紹介したいと思います、などと言い、衝撃的な名前を告げます。
John Williams!
映画音楽の巨匠。『スター・ウォーズ』や『E.T.』、『ジョーズ』、『インディ・ジョーンズ』、『ハリー・ポッター』など数え上げるとキリがないほどの名作を残してきた伝説の人がそこに! そうか、ここはハリウッド!
彼が指揮台に上がり、タクトを振った瞬間、あの何度も何度も聞いた誰もが知っているメロディが。’Main Title From “Star Wars”‘!
期待通りの選曲。もう言葉を失うほどの感動。こんな機会二度とないだろうなぁ。
終演後、鳴り止まない拍手と歓声。まさにスタンディングオベーション。
最後はゲストのKali Uchis、Herbie Hancockバンド、Katy Perryもライトセーバーを持って舞台上に再登場。お茶目にライトセーバーを振るHerbieが可愛かったです。あの人78歳とか嘘でしょ。若すぎるよ。
一生忘れることはないであろう、素晴らしいコンサートでした。LA Phil100周年おめでとうございます。LAにいる間にまたコンサート観に行こうと思います。
それにしてもこれがタダというのがいまだに信じられない(笑)