さあ、ようやくこのシリーズも最後のチームまで来ました。
MLBのポストシーズンについて −リーグチャンピオンシップ・ワールドシリーズを楽しむために−
リーグチャンピオンシップの見どころ −ミルウォーキー・ブルワーズ編−
リーグチャンピオンシップの見どころ −ロサンゼルス・ドジャース編−
リーグチャンピオンシップの見どころ –ボストン・レッドソックス編–
最後は昨年のワールドシリーズ(WS)の覇者、ヒューストン・アストロズです。
LA近郊に住んでいる身としてはドジャースに優勝してほしいし、勢いのあるブルワーズもあり得るかなーとか思いつつ、なんだかんだ一番地力があるのはアストロズだと思っています。
投手力、打撃力、ともに素晴らしく、WS連覇も夢ではないチームです。
なかでも今年の投手陣は惚れ惚れするような成績。チーム防御率は3.11。今年3点台前半を記録しているチームはアストロズとドジャース(3.38)しかありません。
特に先発陣が強力で、エースのジャスティン・バーランダー(Justin Verlander)とゲリット・コール(Gerrit Cole)の二枚看板は防御率でリーグ2位と3位(2.52と2.88)、奪三振数では1位と2位(290と276)に君臨。
勝利数に関してはバーランダーが16勝、コールは15勝。さらにチャーリー・モートン(Charlie Morton)も15勝を記録。LCS3戦目に登板予定の左腕ダラス・カイケル(Dallas Keuchel)も13勝、もう1人の先発ランス・マッカラーズ(Lance McCullers)も10勝と二桁勝利投手を5人も擁しています。
今回はその中からバーランダーと個人的に好きなモートンを紹介。
まずはJVことバーランダー。MLB14年目35歳のベテランです。デビュー2年目の2006年から17勝を記録。そこから9年連続を含む12度の二桁勝利を達成し、殿堂入りも視野に入っている大投手です。
下り坂に差し掛かっていてもおかしくない年齢なんですが、年をとればとるほど進化している気がするのは私だけでしょうか?
特にフォーシームのノビは画面越しに観ても異質に感じます。ボールの回転数(スピンレート)がメジャー平均2,263に対して2,618(ともに2018年)と圧倒的に高く、ホップ成分が非常に多いようです。
高めにこの浮き上がるようなファストボールを投げると面白いほど空振りが取れます。また高めにこの球を投げられることが、低めへのスライダー、カーブの威力を増していると思います。
ポストシーズンにも強く、ここまでキャリアトータルで13勝(6敗)、防御率3.08、WHIP1.00と抜群の安定感を誇ります。
今年LCSに残っている4チームの中で、ブルワーズを除く3チームには歴史に名を残すような絶対的エースがいますが(ドジャースはカーショウ、レッドソックスはセール)、他のエースがポストシーズンで思うような成績を残せていないことを考えると、JVの信頼感は大きいのではないでしょうか。
もう1人の注目ピッチャー、モートンも34歳とベテランに差し掛かった右腕です。
2008年のデビュー以来、2016年までの9年間で二桁勝利は10勝をあげた2011年の一度だけ。パッとしない成績でしたが、アストロズに移籍した17年に14勝(7敗)、防御率3.62、WHIP1.19を記録。
今年も15勝(3敗)、防御率3.13、WHIP1.16と安定した成績を残しています。
過去の成績と見比べてみて目を引いたのは奪三振率(K/9)。2試合しか投げていない2016年を除けば、6弱~7程度だったものが、17、18年は共に10を超えています。要因としてはファストボールの平均球速が91~93マイル(約146~149キロ)だったものが95~96マイル(約152~154キロ)に上がっていることがあげられると思います。
ただ基本的には高速シンカーとカーブの組み合わせを主体にゴロを打たせてとるピッチングが持ち味。昨年のWSでの快投が印象に残っています。今年のLCSは4戦目に登板予定です。
野手に関しては、昨年のリーグMVPに輝いたホセ・アルトゥーベ(José Altuve)や元横浜ベイスターズのユリ・グリエル(Yuli Gurriel)、個人的に大好きなショートストップ、カルロス・コレア(Carlos Correa)も紹介したいところですが、今回はこの2人を外すわけにはいかないと思います。
昨年のWS MVP、ジョージ・スプリンガー(George Springer)と今年のリーグMVP候補の1人、アレックス・ブレグマン(Alex Bregman)の2人です。
まずスプリンガー。昨年のWSは文句なしのMVP。7試合全てに出場し、打率.379、ホームラン5本(!) 、OPS1.471という驚異的な成績。
今年のポストシーズンでもここまで打率.409、3ホーマー、OPS1.367と大活躍しています。
不動の一番バッターで、先頭打者ホームランを連発していきなり相手の出鼻を挫くこともしばしば。2017年と2018年の開幕戦で2年連続先頭打者ホームランを放つ、という訳の分からない記録も持っています。
「なにか起こしそう」そんな感じが一番する選手です。
ブレグマンもここまでポストシーズン絶好調の選手。打率.417、ホームラン2本、OPS1.708と打ちまくっています。サードの守備でも安定したプレーを見せています。
今年はレギュラーシーズンでも飛躍の年でした。
打点はリーグ5位タイの103打点、得点も5位タイの105得点。OPSも5位で.926、そして2塁打は両リーグ通じて1位の51本を記録しています。
ちなみにホームランも31本。長打も期待できる選手です。
ブレグマンで好きなのは、ハリウッド映画のスパイや殺し屋のようなクールで鋭い眼差し。明るい感じのスプリンガーと対照的な感じがします。
書いているうちに両リーグともに2試合が終わってしまいました。
面白い具合に両カードとも1勝1敗のタイ。
これからが面白いところです!
みんなでポストシーズン楽しみましょう!