さて、リーグチャンピオンシップの見どころシリーズ、今回からアメリカンリーグです。
これまでの記事はこちら↓
MLBのポストシーズンについて −リーグチャンピオンシップ・ワールドシリーズを楽しむために−
リーグチャンピオンシップの見どころ −ミルウォーキー・ブルワーズ編−
リーグチャンピオンシップの見どころ −ロサンゼルス・ドジャース編−
まずは今年球団史上最多の108勝をあげ、MLB30球団の中でトップの勝率を誇るボストン・レッドソックスです。
ディビジョンシリーズ(DS)では永遠のライバル、ヤンキースとの戦いを制し、順当にリーグチャンピオンシップシリーズ(LCS)へ進出。
DSでレッドソックスファンをホッとさせたのはエース、クリス・セール(Chris Sale)のピッチングではないでしょうか。
昨年のディビジョンシリーズでは2試合(先発は1試合)に投げ、防御率8.38で2敗を喫するなど散々だったセールですが、今年は先発した初戦を5.1イニング2失点8奪三振と抑えて勝ち投手になり、また4試合目は8回にリリーフとしてマウンドに上がり、1イニングをシャットアウトし勝利に貢献しました。
ポストシーズンになるとなかなか本来の実力を発揮できない選手が現れますが、セールがその呪縛から逃れられた(ように思える)のは朗報といっていいでしょう。
2メートル近い長身の左腕で、一塁方向に踏み込みながら横手から投げてくるピッチングスタイルは殿堂入りした名投手ランディ・ジョンソン(Randy Johnson)を彷彿とさせます。
MAX160キロを超えるフォーシームと恐ろしく曲がるスライダーを武器にしているところもそっくりです。
奪三振率の高さも似ている点のひとつ。
ランディは歴代最高の奪三振率(10.61)を誇っていますが、セールは投球回が規定(2,000)に到達していないものの、ここまで10.86とランディを上回るペースで三振を量産しています。
今年は怪我で離脱した期間が長かったため投球回が158と少ないですが、それでも237奪三振。防御率は2.11、WHIPは驚異の0.86!
残念ながらLCS初戦は4回被安打1、奪三振5ながらフォアボール4個が響き、2失点。セールにしては物足りないピッチングとなってしまいました。
個人的に大好きなピッチャーなので、次に期待です。
一方、DSで不安を感じさせたのは抑えのクレイグ・キンブレル(Craig Kimbrel)。
今年史上最年少で300セーブを達成した絶対的守護神ですが、ヤンキースとの4戦目はコントロールが定まらず2失点。1点差まで迫られ、ヒヤヒヤさせました。
キンブレルのピッチングは是非一度は見ていただきたい。「球が浮き上がる」なんて物理的にありえない、ってことはわかってるんですが、彼の球は本当に浮き上がっているように見えるんです。そんな抜群のキレを誇るフォーシームと高速カーブでバッターをねじ伏せます。
サインを覗き込むときの独特のルーティンは、MLB好きなら一度は真似したことがあるのでは?笑
野手に関しては打撃部門で上位を占めまくっているムッキー・ベッツ(Mookie Betts)とJ.D.マルティネス(J.D. Martinez)の2人に注目。
ベッツは今年打率.340で首位打者のタイトルを獲得。ホームラン32本、盗塁30といわゆるトリプルスリーを達成。長打率(.640)と得点(129)でもリーグ1位、OPS(1.078)と出塁率(.438)は共にマイク・トラウト(Mike Trout)に次ぐ2位!
しかし今年のポストシーズンはここまで打率2割を切る状態と本来の力を発揮できていません。
もう1人のキーマン、J.D.マルティネスですが、こちらは130打点で打点王のタイトルを獲得。
打率(.330)、ホームラン(43本)も共にリーグ2位と三冠王に近いところまで行っていました。
長打率もベッツに次ぐ2位(.629)、OPSはトラウト、ベッツに次ぐ3位(1.031)という文句なしの成績。
ヤンキースとのDSでも4試合で6打点と勝負強さを見せています。
ベッツが出てJ.D.が返す。レギュラーシーズンで何度も繰り返してきたことをLCSでもできるかどうかがレッドソックスの勝敗のカギを握っていると思います。
ベッツ頑張れ!